2006年3月14日(火)12:36

ケーラー独大統領:「EU憲法を軽々しく放棄してはならない」

ストラスブール(ddp)

ドイツのホルスト・ケーラー大統領はEU憲法批准手続きの再生が必須であるとの見解を表明した。すでに14ヶ国が承認していることを考えれば、条文を「軽々しく放棄すべきではない」と大統領は火曜日、ストラスブールの欧州議会で演説した。あわせて大統領は、欧州の学生によってドレースデンで始められた欧州連合の将来に関する提案を詳細に検討するよう求めた。

「創造的動揺について」と題した演説で、ケーラー大統領は一律のEU選挙権、共同のEU旅券、直接選挙で選ばれるEU大統領、共通のEU軍、EUの兵役代替社会奉仕制度、あるいは教育研究予算をEU加盟国の国内総生産の5パーセントに引き上げるという学生の提案に言及した。これまでEU諸国はリスボンプロセス*を発表し、2010年までに研究や学問の予算を3パーセントに引き上げることを計画している。

この「欧州の団結に向けたドレースデン要請」について大統領は「確かに彼らの要求は理想主義的に聞こえる」と認めた。だがこの考えは心を打つ。この理想主義は、戦後欧州を再建し、欧州の自由な統一に向けて闘った人々の熱意を受け継ぐものだ、と大統領は擁護した。

ケーラー大統領は欧州議員を前に保護主義の回帰に警鐘を鳴らした。EUの域内市場を保護主義で弱体化させる者は、自らの体を切り刻むことになる。欧州が「調子を取り戻す」ためにはもう一方の道しか残されていない。加盟国の中には必要な構造改革を終えて相当の前進を見せた国もあるが、まだ努力が必要な国もある、と大統領は演説した。

さらにケーラー大統領はEU諸機構の官僚主義を戒めた。EUは「あらゆることを行うのではなく、必要なことすべて」に限定すべきである。EUが成すべきことを行う場合は、「どうか管理業務は最小限に抑え、分かりやすい形で行ってもらいたい」。必要なのは「官僚的な管理組織の風通しを良くすることだ」。それゆえ欧州委員会が「現行の錯綜する規則の藪」に手を入れ、EU規則の簡略化を目指しているのは良いことだ。一層の透明性はEU市民も歓迎することだろう、とケーラー大統領は主張した。

原題:Koehler: EU-Verfassung darf nicht leichtfertig aufgegeben werden

*訳注:2000年3月のリスボンEU首脳会議で決定された計画。




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